まずは・・・
1.ハンガーの手
技をかける時、脇を締める、が基礎の基礎。
でも、この脇を締める事が、ついつい技の途中で疎かになり、脇が開いてしまう事があります。
今回は、民宿のハンガーを使って、ハンガーの穴に両手を入れて交差させてみる、という実験をしました。
実際に試してみていただくとわかりますが、脇を閉じて両肘を付けるぐらいにしないと、入りません。
これが、脇を締める、という感覚。
”脇を締める”のは、単に脇を閉じるのではなく、”肘を体の中心に持ってくる”感覚ですね。
小手返し、四方投げ、最後の投げの瞬間に両手を添える技の場合は、常に脇を締める。
脇を締めた場合と開いた場合では、受けをとるときに明らかに感覚が違います。
脇が開いた技ですと、技から逃げることができそうな、緩さが残ります。
脇を締めた場合は、力を入れなくてもキツい感じを受けます。
おそらく、脇を締めることで、受け・取りの接点が自分の正中線の前に来て、その結果、腕の力を入れなくとも、取りの体重移動等がストレートに受けに伝わり、また接点の位置が、受けにとってはキツイ位置になり、より技が利きやすくなるのでしょう。
2.武器技に学ぶ体術
通常、杖等の武器を取りに来た相手に技をかける、武器技は、上級~有段者の稽古では良く見かけますが、今回の合宿では、初級の方も含め全員が武器技にチャレンジです。
武器は、手の延長です。
武器の動きは、武器を持たないときの手や体の動きを誇張させたものです。
と、今回の武器を使った稽古は、体術につながる重要なポイントを学ぶためのものでした。
①梃子の原理を体感する。
杖の場合、相手が杖の先を持っていますから、うまく杖を動かさないと相手を動かす事ができません。いわゆる、梃子の原理で支点からの距離が長いほうが、少しの力で動かせるのです。
ですので、取り側のポイントは支点をどこに持つか、となります。
相手から離れたところに支点を設けると相手が有利になります。ですので、相手に近いところを支点にする必要があります。
これは杖だけでなく、体術でも同じことが言えます。
自分の持たれた手のどこを支点とするか、支点を意識しながら動く事が出来ているか?
杖の稽古では、この点を改めて意識する事ができました。
②回転軸を意識する
次のポイントは、回転軸です。
四方投げの場合は、相手の手を取った後、転換をします。
杖を使うと、杖を立てて回転しなくてはなりません。この立てた杖が四方投げの転換の際の回転軸を示しており、自分の回転軸がどこに位置するかが一目瞭然でした。
回転軸を相手の背面にもっていくと、実は回転できないし、反撃もされやすい、技がかかりにくい、となります。相手の真横から少し前に回転軸を設けて、転換後の接点が相手の横より少し後ろぐらいになるように転換します。
四方投げは、ある程度稽古をするとなんとなく形にはなりますが、この様に杖を使ってみることで、本当に効果的な体の動かし方をしているのか?を再確認できた稽古でした。
今回の合宿は、”技を研究し、理解を深める” という内容の合宿で、本当に勉強になりました。
単に体を動かすだけではなく、実験をして様々な角度から技のポイントを発見していく、ということも、技を理解するうえで重要な事だと認識しました。
宴会も楽しかったですが・・・やはり、新たな発見が出来る稽古が一番楽しい、そんな合宿でした。