2011/06/28

【合気道 稽古日記】2011/06/26 間合とテコの原理

【合気道 八千代円明会 稽古日記】

前回、間合いを詰める事で、回転速度を上げる、という説明を伺った。
今日の稽古では、”三教、三教投げの稽古をしたが、ここで、技によっては間合いを長くする必要がある、というご説明を頂いた。

あれ?間合いは詰めたほうがいいんじゃないの?
なぜ、長い間合いが必要になるの?

・・と、単純な私は???となったが、先生の説明を聞いて納得。

三教は、相手の手のひらが体の外側に向くようにねじりあげて、相手の肘・肩をキメる(動かないように固める)技だが、この時、間合いの取り方により、相手側に与えるダメージが全く異なる。
灰色の線が、体幹、黒い線が腕、●が間接、■が手のひら (・・って判りにくい!)

相手の手のひらを捻り上げるのだが、腕をテコとみなすと、力を入れる相手の手が力点、かつ、支点になる感じで、手のひらのねじりが肘や肩に伝わる。

このとき、テコの長さは、手のひらから肩までの直線距離。
当然、上図のように肘が曲がれば、テコの長さが短くなる。つまり、間合いを詰めるとテコが短くなる、ということだ。

S先生に、下図の様なイメージで技をかけられた。

すこし、肘を伸ばす感じ。つまり、テコの長さが長くなっている。
当然、このときの間合いは、少し距離がある。テコを長くするため、間合いを取っている、といってもいい。

肘を曲げているときと、伸ばした時、どちらがキマっているか?(痛みがあり、動けないか?)というと、この肘が伸びている状態のとき。

つまり、間合いは短ければいい、というのではなく、技によって適した間合いがある、
・・・ということが今日の稽古のテーマでした。

恐らく、技によって、技の特徴を示す物理法則が違うのだろう。
当然、法則が違えば、間合いや力の入れる方向(ベクトル)も変わってくるのだろう。

まだまだ解明するテーマが多くて大変だな・・・
しっかり理論と実践を学んで行こう。

2011/06/22

【合気道 稽古日記】番外編 足捌き・姿勢・正中線はベクトル

【合気道 八千代円明会 稽古日記】

物理学的に合気道を見てみると、今まで教わってきたことの個々に、何かつながりがあるように思えてきた。
八千代円明会の稽古で、いつもS先生が言われること。

①足捌きが重要、まずは足から動く。
②足、腰がエンジン、手がハンドル。
③背筋をまっすぐ、顔をあげ、遠くを見るように
④腕は力をいれず、まっすぐに。
⑤自分の前に相手がいる、相手の前には誰もいない

①、②は相手を動かす力は、足腰の力であって、腕の力ではない、ということをおっしゃってるのだと思う。腕の力よりも、足の大腿筋や背中の後背筋のほうが太く、力がある。この太い筋力をうまく使うことが重要なのだろう。
じゃあ、この足腰の動きと③~⑤にはどういう関係があるのか?
一見すると別のことの様だが・・・

以前、S先生は、力点と作用点について話をされたことがあった。
手先は作用点、足は力点。
この言葉に、これらの関係性があるように思える。


 先生のご指導は、上記の様に、足の力を如何に効率よく腕を通して相手に伝えるか、ということに思える。これが姿勢とどう関係するか?
 背筋が曲がっている、猫背の場合、肩に伝わるはずの足の力が、背中がクッションとなって緩和されてしまう。
さらに、背中をまっすぐにすることで、下半身の力を後背筋がバネのように増幅するのかもしれない。

 同様に、腕が曲がっている場合、この腕がクッションとなって力の伝達が弱まる。
 
③背筋をまっすぐ、顔をあげ、遠くを見るように
④腕は力をいれず、まっすぐに。

この何れも、下半身の力をうまく上半身に伝えるために必要な、あるべき姿勢なのだろう。
では、 ⑤自分の前に相手がいる、相手の前には誰もいない

・・・・・これは?
相手との力の衝突を避け、自身の力の方向が相手にまっすぐに向くように、ということなのだろう。

相手に正しく向いていない場合・・・
本来伝えるべき力の一部しか相手に伝わらない。

つまり、円明会で、先生が毎回のようにお話されることは、如何に下半身の力を効率よく腕に、さらに相手に伝えるか?ということの様に思える。


・・・って、判ったふりしたらいけないね。

多分、基本が基本たる所以は、その働きが単純ではなく、いろいろな効果を生み出すからであり、恐らく、”力の伝達”は基本のごく一部の働きなのだろう。

まだまだ、判らないことだらけ。
じっくり学んで、解明していきましょう。

2011/06/20

【合気道 稽古日記】2011/06/19 間合と角運動量保存の法則

【合気道 八千代円明会 稽古日記】

先々週の稽古について書いたBlogをS先生が読まれたらしく、今日は、休憩時間にこっそりと物理学の観点から技を解説して頂いた。

以前から、S先生曰く、”合気道は九割九分は物理学で解説できる” とのこと。
残り一分は、物理学では解明できない何か?なのだろうが、今日は物理学で解説できる範囲を。

まずは・・・

e=ma^2

eは、質量mのある物体を加速度aで動かす場合のエネルギー。
受けが60kg、と100kgの相手、同じ速さで技をかけようとすると、重たいほうはかけにくい。
逆に、取りが60kgと100kg、同じ速さで捌けば、100kgの方がより大きなエネルギーを相手にあたえる。多くの格闘技が体格・体重が大きいほうが有利であるのは、おそらくは、単純にこの理論で説明できる。でかいヤツほど有利なのだ。

ところが、合気道の場合。確かに体格差は影響するが、必ずしも体格では説明できないところがある。私より小柄なS先生は、少し動いただけで100Kgちかい私を軽々とふっとばす。
しかも、スピードは決して速いわけではない。つまり加速度が大きいようには見えないのである。
今日は、そのヒントのひとつ、について説明頂いた。

それが、”回転”と”間合い”の秘密。

Aが自分、B、Cが相手、半径r1、r2は、それぞれB,Cとの間合いとなる。
B、Cに働く力をそれぞれL1、L2とし、いずれも回転させるためにAが用いる力をpとする。

S先生曰く、”相手を早く動かすには、間合いを詰め、回転半径を短くする” ということがポイントとのこと。

上記の例でいうと、
p = r1 × L1
p = r2 × L2
半径×相手にかける力が必要な力となる。
B,Cに同じ力をかける場合、動かす力pは、半径の短いBの方が少なくてすむ。

つまり間合いを縮め、回転半径を短くすることで、同じ力でも相手にかける力を大きくすることができる。では、その場合の加速度はどうなるか。

合気道は、円の動き、つまり回転運動がはいる。
回転運動におけるモーメントは、L=mr2ω (ωは回転時の角速度)

同じエネルギー量L である場合、半径rが短いとより多くの角速度が発揮できることになる。
フィギュアスケートのスピンで、を広げているときはゆっくり、腕を縮めると回転が速くなる。
それと同じことが、間合いを縮めることで起きる。
同じ力を入れても、間合いが長いと角速度は小さく、間合いを縮めると角速度があがる。


S先生は、技をかけ力が入る瞬間には、ずいっと間合いを詰め、その上でしっかり転換等の回転の動きをする。つまり直線的な加速度ではなく、角速度を生かしている。

間合いを詰め、しっかりと円運動をすること、これが小柄な人間でも大きな人を倒せる合気道の秘密のひとつ、ということだろう。

2011/06/06

【合気道 稽古日記】2011/06/05 技の重たさ

【合気道 八千代円明会 稽古日記】

今日の稽古で、久しぶりに先生の受けを取らさせていただきました。
 後ろ取りの取り方、捌き方を皆さんに説明するためだったので、
実演⇒説明⇒実演と、それほどハードな受けではなかったはずなのに、
もう、すぐに息が上がって、はぁーはぁーぜーぜー。

この息の上がり方は、単に運動不足?だけじゃない。
先生をはじめ、有段者の方の受けを取る時に、いつも感じるのが、
”重たい”という感じ。
 
同じぐらいのレベルの方の受けをとっても、まったくそうは感じず、受けをとっても疲れないのだが、上段者の方の受けを取ると、これがハンパなく疲れる・・・・


この重たさの感じを例えると、おなじスピードのピンポン玉と、バスケットボールでは、受けたときに感じる衝撃は、当然、重たい方が大きい。ボーリングの玉ならなのこと。この衝撃の違いのようなものが、技を通じて伝わってきている感じ。
大きい衝撃を受け止めるので、恐らくそれで疲れるのだろう・・・

重たさは、腕力ではないと思われる。現に先生に掴まれた箇所は、決してきつくはない。
これが、どういうエネルギーで、そのエネルギーはどこから生まれ、どうやって、その重たさを相手に伝えるのか?

この重たさの秘密が、合気道の本質に近づくための何か?なのかも知れない。