2011/06/20

【合気道 稽古日記】2011/06/19 間合と角運動量保存の法則

【合気道 八千代円明会 稽古日記】

先々週の稽古について書いたBlogをS先生が読まれたらしく、今日は、休憩時間にこっそりと物理学の観点から技を解説して頂いた。

以前から、S先生曰く、”合気道は九割九分は物理学で解説できる” とのこと。
残り一分は、物理学では解明できない何か?なのだろうが、今日は物理学で解説できる範囲を。

まずは・・・

e=ma^2

eは、質量mのある物体を加速度aで動かす場合のエネルギー。
受けが60kg、と100kgの相手、同じ速さで技をかけようとすると、重たいほうはかけにくい。
逆に、取りが60kgと100kg、同じ速さで捌けば、100kgの方がより大きなエネルギーを相手にあたえる。多くの格闘技が体格・体重が大きいほうが有利であるのは、おそらくは、単純にこの理論で説明できる。でかいヤツほど有利なのだ。

ところが、合気道の場合。確かに体格差は影響するが、必ずしも体格では説明できないところがある。私より小柄なS先生は、少し動いただけで100Kgちかい私を軽々とふっとばす。
しかも、スピードは決して速いわけではない。つまり加速度が大きいようには見えないのである。
今日は、そのヒントのひとつ、について説明頂いた。

それが、”回転”と”間合い”の秘密。

Aが自分、B、Cが相手、半径r1、r2は、それぞれB,Cとの間合いとなる。
B、Cに働く力をそれぞれL1、L2とし、いずれも回転させるためにAが用いる力をpとする。

S先生曰く、”相手を早く動かすには、間合いを詰め、回転半径を短くする” ということがポイントとのこと。

上記の例でいうと、
p = r1 × L1
p = r2 × L2
半径×相手にかける力が必要な力となる。
B,Cに同じ力をかける場合、動かす力pは、半径の短いBの方が少なくてすむ。

つまり間合いを縮め、回転半径を短くすることで、同じ力でも相手にかける力を大きくすることができる。では、その場合の加速度はどうなるか。

合気道は、円の動き、つまり回転運動がはいる。
回転運動におけるモーメントは、L=mr2ω (ωは回転時の角速度)

同じエネルギー量L である場合、半径rが短いとより多くの角速度が発揮できることになる。
フィギュアスケートのスピンで、を広げているときはゆっくり、腕を縮めると回転が速くなる。
それと同じことが、間合いを縮めることで起きる。
同じ力を入れても、間合いが長いと角速度は小さく、間合いを縮めると角速度があがる。


S先生は、技をかけ力が入る瞬間には、ずいっと間合いを詰め、その上でしっかり転換等の回転の動きをする。つまり直線的な加速度ではなく、角速度を生かしている。

間合いを詰め、しっかりと円運動をすること、これが小柄な人間でも大きな人を倒せる合気道の秘密のひとつ、ということだろう。

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